森で何もしないリトリートは、森に入って何もしないで過ごします。森には、1/fゆらぎという自然のリズムが流れています。鳥の声、風の音、小川のせせらぎ、木洩れ日、虫の羽音、枝葉の風にそよぐ、落ち葉を踏む音などには、「1/fゆらぎ」があります。「1/fゆらぎ」とは、電磁波や音波などの周波数のことで、「1/f」の「f」は、frequency(周波数)の頭文字。「1/f」という式が意味するのは、周波数f値に対して、得られる結果が反比例するということ。物理学で言うのなら、「パワースペクトル密度が周波数fに反比例するゆらぎ」ということになります。人は五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)を通して「1/fゆらぎ」を感じることで、生体のリズムと共鳴し、居心地の良さを感じると言われています。そして、脳を活性化し、リラックスさせてくれます。それは、人間も「1/fゆらぎ」を持っているからだと言われています。心拍・呼吸や脳波などの生物電気現象、脳波のα波の周波数、神経細胞が発する生体信号の電気パルス間隔にも「1/fゆらぎ」が見いだされています。疲れた身体は、私たちがリラックスして副交感神経に入った状態のときに、自ら治癒し、体調を回復してくれます。「1/fゆらぎ」は、副交感神経のスイッチを入れてくれます。森は疲れた目も休ませてくれます。ただ森の緑を眺めるだけでも、血圧の低下や脳活動が鎮静化するなどの作用をもたらします。また、森には、独特の香りがあります。香りが脳に働きかける作用は直接的で大きいものです。フィトンチッドは、木々が発散する香り成分のことですが、いわゆる「森林の香り」のことです。フィトンチッドには血圧や脳の活動を鎮静化させ、怒りや緊張などを緩和させる効果があります。まとめると以下の効果があります。
・緊張、うつ、怒り、疲労、混乱などのストレス状態の改善
・活気、活力などの意欲、エネルギーの回復
・身体の痛み等の自覚症状の改善
・ガン細胞を殺してくれるナチュラル・キラー細胞(NK細胞)の増加
・気分の改善
・血圧の低下、脈拍の減少等の自律神経の改善
・運動による体質改善とリハビリテーション効果
森林浴後には心と身体が変化し、気分の変化や体調の変化を自覚することが証明されています。森が人にもたらす効果の研究は、まだ始まったばかりです。原因不明の体調不良がちまたで叫ばれていますが、700万年という長い時間のほとんどを自然の中で過ごしてきた人間の身体は、あまりにも荒廃の進んだ地球環境に適応できる限界に差し迫っているのかもしれません。 |